【 豊かな自然や多様な生態系を維持するために 】

かな自然や多様な生き物の暮らす里山環境は、私たち人が利用目的に応じて手を加え、変化をもたらすことで維持されてきました。しかし近年、過疎化や少子高齢化が進み、『人』と『里山』との関わりが減ったことでその豊かな生態系が急速に失われつつあります…。

 

そこで私たち一般社団法人森里では、放棄された里山環境に再度手を加え、管理を続けることで、より豊かな自然と人とが共存できる環境づくりを実施しています。


耕作放棄地A 下段

<管理前(2022年9月)>

ススキなどの高茎草や笹が生い茂り風通しも悪い状況でした。また民家に近いにも関わらず、イノシシやニホンジカといった大型哺乳類の痕跡も多く見られました。

 

耕作放棄地A 上段

<管理前(2022年8月)>

高茎草が生い茂り水路の管理ができない状況でした。また近年、周辺地域で個体数が減少しているノウサギやキツネの生息に適した『開けた草原環境』とはいえませんでした。

耕作放棄地A 下段

<管理後(2023年4月)

大規模な草刈りにより、風通しが良くなりました。また隠れ場所が減ったため大型哺乳類の被害対策にも繋がります。刈った草は昆虫等の越冬場所として数カ所に積み上げて残しました。

耕作放棄地A 上段

<管理後(2023年12月)>

樹木以外を刈り込み、水路の管理ができるようになりました。また開けた草原環境になったことで、植物や生き物の利用が変化するか現在調査中です。




耕作放棄地B

<管理前(2022年4月)>

一面に笹が生い茂り、樹木や絡みついた藤によって日当たりが悪く、地面も一部ぬかるんでおりジメジメしていました。

 

耕作放棄地B

<管理前(2023年2月)>

樹木にはフジやクズなどのツルが絡まり、葉や枝が育たないだけでなく、死んでしまっているものもありました。

耕作放棄地B

<管理後(2024年1月)

笹の刈り込みや樹木の剪定を行い、日照環境を変えただけでなく、水源環境をしっかりと整備し沢を通しました。

 

耕作放棄地B

<管理後(2023年4月)>

ツルの根を切り、樹木の枝の剪定を実施しました。来年、葉や枝付きに変化が見られることを期待しています。

 



= 里山の変化 =

理後の耕作放棄地Bの沢で見られるようになった『ムカシツチガエル』(学名:Glandirana reliquia)。昔から里山に暮らす生き物として親しまれてきたツチガエルですが、生息環境の減少により神奈川県では要注意種に指定されています。来季は管理した沢での繁殖を期待しています。

作放棄地Aの草原では、草刈り後近年周辺の里山でも目撃例がなかった『ニホンノウサギ』(学名:Lepus brachyurus)の生息が確認されました。高茎草がなくなったことで、草丈の低い草花を好むノウサギのような哺乳類やチョウなどの昆虫類の利用が増えることが期待されます。

作放棄地Aには外来植物の『セイタカアワダチソウ』が多く生えていました。生命力が強いだけでなく、他の植物の生育を妨げてしまう成分を持っているため、根から抜く除草作業を実施しました(2023年秋)。全てを除草することは難しいですが、繁茂する前に対策を続けていきます。